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つくりものがたりにっき

創作文章を載せているブログです

今年の抱負

去年のクリスマス、つまりついこの間の話だが、俺は付き合っていた女と別れることになった。彼女は他の男から12月23日にサプライズプロポーズをされ、それを受けることにしたのだという。 そいつと俺と二股をかけていたのか?と聞いたが、本人が言うところに…

古本屋の猫

僕が大学に入ってまず驚いたのは、教科書があまりにも大量で、しかも高いということだった。大学の講義はほとんどが週に1回しかないのに、その全てで違う教科書が必要になる。同じ教科が週に何度もあって、同じ教科書を使っていられる高校とは大違いだ。 全…

青空をつくる

ある町の上空に広がる、雲一つない青空。それを描いた男の人生の物語。

女が悪魔にかわるとき

とあるポールダンサーの女のために男が用意した特別なポール。それは、十字架だった。 男は言う。「神を堕落させてほしい」

小さな家族の軌跡

不動産業をやっていると、様々な家族の横顔を見ることになる。これから話す話は、とびきり変わった、でも普通の家族の話だ。 俺はしがない地元密着型の不動産屋の小倅だ。大学を卒業した後しばらくサラリーマンをやって、28歳になった今、親父がまだ現役のう…

今はもうない

『この先、今はもうない』そんな看板が掛かった扉を発見したのは、本当にただの偶然だった。夕方、いつもの帰り道、夕立に見舞われある建物で雨宿りをした。そこでカバンを拭くついでにゴーグルも拭いたのだ。そのためにゴーグルを外したら、壁だったはずの…

海を去る日

この船は宝の船なのだ、と娘には言い聞かせて育てた。私は船乗りで、家族である娘も常に一緒に船に乗せている。岡へ戻ることはごくわずかで、海の上で暮らすことが人生そのものであると言ってもいい。 ある日娘に、この小さな船のどこが宝の船なのか?と訊か…

右側の言葉

「?」 イヤホンをして音楽をかけた時、すぐに違和感に気付いた。右側から音が出てこない。まいった、断線か。 しかし断線なら、コードの位置を調整することで音が聞こえるかもしれない。俺は右側のイヤホンのコードを触って、あちこち動かし始めた。ザッ、…

暗闇のなかで

僕は暗闇が大好きだ。正確には、暗闇の中で彼女とイチャイチャするのが大好きだ。見えるところでイチャイチャする方が萌えるという友人もいるけれど、僕の場合はよく見えない中で妄想を膨らませながらイチャイチャするのが良いのである。 私は暗闇が大好きだ…

鶴が去る必要はない

僕はその日初めて、綾花さんに会いに行った。綾花さんはネットで知り合った女性で、とても気が合った人だ。直接話をしたいね、という話になり、今日待ち合わせることになったのだ。『ayahanasaori「今待ち合わせ場所に着きました」』 僕の視界に、綾花さんか…

僕が死ぬ瞬間

僕はアフリカ美術が好きだ。なんだか、『生』の生々しさが溢れているのがいい。今日も僕はアフリカの美術品を片隅に置いてある雑貨屋に立ち寄っていた。 いつもはただ眺めるだけだけど、今日はふと目についた品があった。笑っているように見える木彫りの像で…

ちょんまげを結って愛を叫ぶ

その日、私は職場の休憩室で、いつものようにお昼のお弁当を食べながら、いつものようにお昼のバラエティを見ていた。そのバラエティ番組には、飛び入りの男性視聴者がそれぞれの覚悟を胸に、いまどき髪型をちょんまげにする、というわけのわからないコーナ…

最後に聴いていたい歌

私は仕事のチャットを終えた。これで今日もひと段落だ。息をついて、居間に向かう。 今の世の中は便利になった。インターネットの発達のおかげで、家にいたままで仕事をするのは難しくなくなった。通勤をしなくて済む、というのは、障害を持つ私にとっては大…

あけみのトリック

『いつものことだけどね……』 私は内心そのように思いながら、暗い洞窟の中を歩いていた。手に持った懐中電灯の明かりだけが足元を照らしている。「ゆみちゃん、怖いね……」 そう言いながら私の左肘をつかんでいるのは、幼馴染のあけみだ。彼女は懐中電灯を持…

それは、約束のために

「アラスカ」 「え?」 彼が突然つぶやいた、その一言。あまりにも突拍子のない単語だったので、私は思わず聞き返してしまった。 「アラスカは、遠いよな」 「うん、そうだね?」 彼が何を言いたいのかわからない。 「アラスカに、出向することになった」 そ…

私の力になる1コマ

私は自分で言うのもなんだが、売れっ子と言っていい漫画家だ。そんな私にも、人生に影響を与えた一冊がある。いや、人生を変えた一冊がある。それは、この古いマンガ雑誌だ。少し、長い話になる。 私は子供の頃、厄介な病気を患い、家から遠い県外の専門病院…

雪どけを待つ本

人生に影響を与えた一冊。僕の場合、それはここにある白紙の本だ。かつて、この本には無数の物語が書かれていた。それらは全て、僕が綴ったものだった。 僕には昔から夢想癖があった。それを白紙の本にしたため、後から電車の中で読み返すのだ。電車の中の周…

ある男とウェブ広告

「一緒に暮らしたいね」 それは、彼女がそう言った時に始まった。その時、僕と彼女が付き合い始めてからの日は浅かったけど、僕も同じことを思っていた。だから、とても嬉しかった。「じゃあ、二人で暮らす部屋を探しておくよ」 僕は彼女にそう言った。どん…

痴漢、炎上、ネットリンチ

「痴漢にあっています、助けてください。今京王線急行の調布、明大前間です。拡散希望。#京王線」 ある月曜の朝、通学途中に覗くスマホの中にそんなツイートがリツイートされてきた。なんとなくだが、嫌な予感がした。 「特定しました。犯人は30代らしき短髪…

彼が結婚してくれません

『彼が結婚してくれません スレ主 彼と大学時代から付き合い始めて10年が経ちます。3年前から同棲していて、私も彼ももう31歳です。それなのに、彼が結婚してくれません。 7年前に結婚の話があったのですが、彼のお父さんが亡くなり家業を継ぐことになって、…

Twitter女子高生とIngressとARと僕

綾花紗織(今どきの女子高生bot)@ayahanasaoriいまどきの女子高生を真似してみたbotです。女子高生っぽい話題をつぶやきます。 僕はこのTwitterのbotが好きだ。たぶん普通の女子高生のツイートをそのまま転載して流してると思われるbotなのだけれど、なんか…

世界に一人のバンドガール

私は小さい頃から、特に目立たない、おとなしい子だと言われ続けてきた。そんな自分が特に嫌だったわけじゃないけど、中学校の頃にちょっとした出来事があった。 クラスでも目立って可愛い女の子がいた。可愛いけどちょっと変わった子で、クラスからは浮いて…

年賀状

遠くに嫁に行く事になった。 恋愛の末の結婚でのことなので、そこに後悔はない。後悔はないけれども、不安はあった。夫となるべき彼以外には、誰も知る人がいない土地なのだ。それは、彼以外に頼れる人がいないことを意味する。本当に心細かった。 だから、…

Web女子の憂鬱

私は可愛い物が好き。キラキラしているものが好き。 だから自分のTwitterやFacebookでも今日のネイルとか新しく買った春物のスカートとかの写真をアップしている。だって可愛いと思うから。 そして、私の写真によくコメントをくれる人がいる。最初は男性か女…