Web女子の憂鬱
私は可愛い物が好き。キラキラしているものが好き。
だから自分のTwitterやFacebookでも今日のネイルとか新しく買った春物のスカートとかの写真をアップしている。だって可愛いと思うから。
そして、私の写真によくコメントをくれる人がいる。最初は男性か女性か分からなかったけど、その人のネットの書き込みを見る限り、あんまりキラキラしてそうになかったからきっと男性だろう。
こういうとき、正直嬉しい。私はキラキラしていたいし、そうやってキラキラしている私にかまってくれる人がいるのだ。私を好きでいてくれたら、もっと嬉しい。
そして、今度会いませんか?っていう話になった。
会うのはすごく怖い。実際の私を見て幻滅されないかしら?って思う。私の周りは可愛くてキラキラしたものばかりだけど、それは私が可愛くもキラキラもしてないから一生懸命飾り付けてるだけってこと、自分で一番良く分かってる。
でも、ネットでしか知らないあの人が本当にいるんだ、ってことを確かめたい気持ちもとっても強い。あの人が本当にいることが分かったら、私のキラキラが本物になる気がする。
だから、会いに行った。
自分がいちばんキラキラにみえるように、ネイル、髪、アイメイクはもちろん、チークの入れ方にもものすごくこだわった。あの人のこと、今は別に好きなわけじゃない。だけど、これから好きになっていくかもしれない。それに今後のネットづきあいのことだって考えたら、ここでキラキラしない訳にはいかない。
でも、待ち合わせ場所にいたのは、地味な女性だった。最初は何かの間違いかもしれない、と思ったけど、その女性は確かにあの人です、って名乗った。
私、明らかに戸惑っちゃって、一生懸命作り笑いすることしか出来なかった。
あの人が言っていたことも半分くらいしか思い出せない。
自分は地味で、似合う服がないこととか、そんな中で私のツイートとかを見てすごく憧れたとか、私が自分みたいな人間に優しいレスを返してくれるのが嬉しかったとか、私みたいになりたいとか、そんなこと。
私はあの人が男性じゃなかった、ってことが物凄くショックだった。私がWebでキラキラして、それにレスをくれる男性がいるっていうときめきが全部偽物だった。
私の中のキラキラしたものがみんな砕け散って、その欠片が心臓に刺さったみたいな気持ちがした。
あの人とはお茶だけして別れた。私からはほとんど話をしなかった。っていうか、出来なかった。
帰ったら、あの人からメッセージが来ていた。
「いつも明るい私さんがあまりおしゃべりしなかったので心配です。きっとなにか不愉快にさせてしまったのでしょうね。本当にごめんなさい。私っていつもこんな感じで、何かしら人を傷つけてしまうことが多くて…」
メッセージは最後まで読まずに消した。
全部偽物だった。ふわふわニットもジャラジャラアクセもつやつやネイルも、私がWebに一生懸命アップしたキラキラしたものを見ててくれた人はいなかったんだ。私がキラキラしてるって思ってただけで、全然そんなことはなかったんだ。
私もいつかキラキラになれると思ってたけど、そんなことはただの夢だったんだ。
悲しすぎて悲しすぎて、今この時間でもまだ涙が止まらない。